「ビール 度数」を知ることで、酔いやすさや味わいの違いが明確になります。本記事では、醸造工程やスタイルの特性に基づき、最適なビール選びをサポートします。

1.ビールのアルコール度数とは?
ビールは、種類や製造法によって味や香りだけでなく「アルコール度数」にも大きな差があります。普段なんとなく選んでいるビールでも、その度数があなたの酔い方や飲むシーンに影響しているかもしれません。ここでは、まずビールのアルコール度数とは何なのか、どう表記されるのかを明確にしながら、他のお酒との比較や、実際に体にどれくらいのアルコールが入るのかまでを詳しく解説します。

1-1. アルコール度数の定義と表記方法
アルコール度数とは、飲み物に含まれるエチルアルコール(エタノール)の体積割合のことです。たとえば、「アルコール度数5%」と書かれているビールは、全体のうち5%がアルコールという意味になります。日本では、パッケージに「アルコール分◯%」と表記されており、消費者が選びやすいように明確に記載されています。
ビールの一般的な度数はおおよそ4%〜5.5%。たとえばアサヒスーパードライは5%、キリン一番搾りは5%、サッポロ黒ラベルも5%。度数がほぼ同じでも、麦芽の比率やホップの使い方、発酵の温度と時間によって、味わいや酔い方が大きく異なります。
1-2. 他のお酒(日本酒・ワイン・焼酎)との度数比較
ビールは比較的アルコール度数が低いお酒です。以下に主要なお酒の度数をまとめました。
種類 | 平均度数 |
ビール | 4~6% |
日本酒 | 13~16% |
ワイン | 12~14% |
焼酎 | 20~25% |
ウイスキー | 40~43% |
このように見ると、ビールは食事と合わせて楽しむ「日常のお酒」としてちょうど良い度数であることがわかります。アルコールに強くない人や、酔いすぎたくない時には、ビールの手軽さが重宝される理由の一つです。
1-3. 純アルコール量の目安と計算方法
アルコールの影響を正しく理解するためには、「純アルコール量」で考えることが重要です。計算式は以下の通りです。

純アルコール量は以下のステップで計算できます:
1. 飲酒量(ml)を確認
2. アルコール度数(%)を掛ける
3. アルコールの比重「0.8」を掛ける
4. 100で割る
→ 例:500ml × 5% × 0.8 ÷ 100 = 20g
この20gは、日本の厚生労働省が定める「節度ある飲酒の目安」とされている1日あたりの純アルコール摂取量と同等です。つまり、500ml缶1本で「1日分」になるというわけです。
このような基礎知識を身につけることで、自分に合ったお酒の量やシーンに合わせたビールの選び方ができるようになります。次は、実際にどんな種類のビールにどれくらいの度数があるのか、スタイル別に見ていきましょう。
2.ビールの度数別・スタイル別一覧
ビールの味わいや香りのバリエーションはもちろんのこと、「どれくらい酔いやすいか」にも影響するのがアルコール度数です。この章では、定番スタイルごとの平均的な度数や、日常的に目にする「生ビール」「缶ビール」、さらに最近注目されている低アルコールビールまで、スタイル別にわかりやすく整理して解説します。

2-1. ラガー、エール、スタウトの平均度数
ビールのスタイルによってアルコール度数には明確な傾向があります。なかでも日本で主流の「ラガー」は、下面発酵によってすっきりとした味に仕上がる一方、度数はおおよそ4.5%〜5.5%。アサヒスーパードライやキリンラガーがこれにあたります。
「エール」は上面発酵で、華やかな香りとコクが特徴です。ペールエールやIPAなどのエール系は5%〜6.5%が多く、海外では7%を超えるものも珍しくありません。
一方、「スタウト」は焙煎麦芽を用いた濃厚な黒ビールで、平均度数は5%〜7%。ギネスなどが代表格で、見た目の重厚さと同じく、しっかりとした飲みごたえがポイントです。
2-2. 「生ビール」の度数と誤解されがちなポイント
居酒屋でよく見かける「生ビール」は、冷たくて飲みやすいですが、実はアルコール度数そのものには明確な定義がありません。「生」とは「熱処理をしていない」という意味で、むしろ製造工程の違いを示しています。
そのため、生ビールだからといって度数が低いとは限らず、缶ビールや瓶ビールと同じく約5%前後のものが一般的です。「今日は生にしよう」と注文しても、アルコールの強さはいつもとあまり変わらないと覚えておくと安心です。
2-3. 缶ビールの度数一覧(主要メーカー別:アサヒ・キリン・サッポロ・サントリー)
日本の4大メーカーが販売している缶ビールのアルコール度数をまとめると、以下のようになります。
商品名 | メーカー | 度数 |
スーパードライ | アサヒ | 5% |
一番搾り | キリン | 5% |
黒ラベル | サッポロ | 5% |
プレミアム・モルツ | サントリー | 5.5% |
本麒麟 | キリン | 6% |
アサヒ ザ・リッチ | アサヒ | 6% |
最近では「本麒麟」や「ザ・リッチ」など、6%前後のしっかり系缶ビールも増えています。味わいの濃さとともに度数が上がる傾向があるので、のどごしを重視する方に人気です。
2-4. 低アルコールビールのポイントと代表例(度数3%以下)
健康志向やライトユーザー向けに、度数を3%以下に抑えたビールも増えてきました。「アサヒ ビアリー(0.5%)」「サッポロ プレミアム アルコールフリー(0.00%)」などは、飲んでも酔いにくく、食事との相性もよいため、ランチタイムや仕事後の軽い一杯にもぴったりです。
特にアルコールに弱い人や、妊娠・授乳中の方、車の運転前など、「飲みたいけど酔えない」場面で重宝されています。ただし、0.00%以外は微量ながらアルコールを含むため、用途に合わせて選びましょう。
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シーンに応じて最適なビールを選ぶには、スタイルだけでなく「度数」も重要な指標となります。次は、もっと強めのビールに挑戦してみたいという方に向けて、高アルコールビールの世界をご紹介します。
3.度数が高いビールの世界
「ビール=軽いお酒」というイメージはもはや過去の話。最近では、アルコール度数7%を超える“ハイアルビール”が注目を集めています。醸造家の技術が光るこれらのビールは、ただ強いだけでなく、味わいも奥深く、まさに“飲む贅沢”。この章では、国内外で手に入る高アルコールビールをピックアップし、その魅力に迫ります。

3-1. 度数7%以上の日本製ビール一覧(アサヒ含む)
日本でも「ガツンとくるビール」を求める声が増えたことを受け、大手メーカーも高アルコール商品の開発に力を入れています。以下は市販されている代表的な銘柄です。
商品名 | メーカー | 度数 |
アサヒ ザ・リッチ | アサヒ | 6~7% |
キリン本麒麟 | キリン | 6% |
サントリー 金麦 (濃いめのひととき) | サントリー | 6% |
サッポロ エビス プレミアムブラック | サッポロ | 6% |
よなよなリアルエール IPA | ヤッホーブルーイング | 7% |
インドの青鬼 IPA | ヤッホーブルーイング | 7% |
ヤッホーブルーイングのIPAシリーズは、苦味・香り・コクの三拍子そろったハードパンチャー。一般的なビールより麦芽やホップを多く使い、香りと濃厚さで飲み応えを演出します。家庭で楽しむ際は、グラスに注いで香りを立たせるのがおすすめです。
3-2. 海外の高アルコールビールランキングTOP5
海外には「ビールの限界に挑む」ような商品も存在します。特にクラフトビール先進国であるアメリカやベルギーでは、10%を超える度数のビールがゴロゴロあります。以下は、その中でも特に話題性が高く評価も高いものです。
商品名 | 国 | 度数 |
BrewDog The Strength | スコットランド | 12% |
Samuel Adams Utopias | アメリカ | 28% |
Schorschbock 43 | ドイツ | 43% |
Brewmeister Snake Venom | スコットランド | 67.5% |
The End of History | スコットランド | 55% |
Snake Venomは「世界最強のビール」としてギネス級の話題に。度数67.5%はもはや蒸留酒に近く、ビールというより芸術品のような存在。日本では入手困難ですが、クラフトビール愛好家にとっては一度は味わってみたい“ロマン”です。
3-3. ビールで9%超は珍しい?強いビールの味と飲みごたえ
日本国内では、9%を超えるビールはまだ珍しい部類に入りますが、缶チューハイ市場での成功を受けて、今後の展開に期待がかかります。実際に9%前後のビールを飲むと、麦芽の甘みやアルコールの温かみが強く感じられます。たとえば、「インペリアルスタウト」や「バーレイワイン」と呼ばれるスタイルでは、アルコール度数が10%以上になることもあり、濃厚なコクと甘みが違いです。
一方で、食中酒としては重すぎるため、チーズやナッツ、スイーツと合わせて“食後の一杯”として楽しむのが理想。飲むペースをゆっくりとし、香りや舌触りをじっくり味わうようにすると、ビールの世界がぐっと広がります。
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「度数が高い=酔いやすい」だけではなく、香りや熟成感を楽しむのがハイアルビールの真骨頂。次の飲み会、少し背伸びして“強めの一本”を試してみるのはいかがでしょうか?
4.度数によるシーン別ビール選び
ビールの楽しみ方は「どのスタイルを飲むか」だけではありません。「いつ、どんな場面で飲むか」によって、適したアルコール度数も変わってきます。軽やかに食事と楽しむなら?しっかり酔いたい夜には?アルコールに弱いけど飲みたい気分のときは?――そんな疑問に、シーン別でぴったりのビール選びをご紹介します。

4-1. 食中酒に合うビール度数
食事に合わせてビールを楽しむなら、アルコール度数は4%〜5.5%が最適です。このレンジは飲みやすさと香味のバランスが良く、料理の味を邪魔しません。
とくに和食には、淡麗系のラガー(例:アサヒスーパードライ・キリンラガー)が合います。口当たりが軽く、刺身や焼き魚など繊細な味と調和します。一方、肉料理や濃い味付けの料理には、ややコクのあるエールタイプ(例:よなよなエール 5.5%)がおすすめです。
また、フライドチキンや唐揚げなど脂っこい料理には、炭酸とホップの苦味が強めのペールエールが相性抜群です。料理との相性を考えるときは、ワインのように「味の強さを合わせる」と覚えておくと便利です。
4-2. 飲みすぎ注意!酔いやすいビールとは?
同じ量を飲んでも、酔いやすいビールには共通点があります。それは「アルコール度数が6%以上」かつ「飲み口がまろやかで甘みが強い」もの。つまり、飲みやすさとアルコールの強さが両立していると、ついつい量が進んでしまうのです。
たとえば「インドの青鬼(7%)」や「本麒麟(6%)」は、コクと苦味のバランスが絶妙で、ビール好きにはたまらない存在。ただし、勢いよく飲むとすぐに体が熱くなり、「あれ、もう酔ってる?」と気づくこともあります。
さらに、空腹時の飲酒や、冷えた状態で一気に飲むのも酔いやすさを加速させます。味と度数を理解したうえで、飲むスピードと量を意識することが大切です。
4-3. アルコールに弱い人のための低度数ビールガイド
「ビールを楽しみたいけど、すぐ酔ってしまう」「顔が赤くなってしまう」――そんな方に向いているなのが、アルコール度数3%以下の“ライトビール”や“ノンアルコールビール”です。
市販の代表例には以下のようなものがあります。
- アサヒ ビアリー(0.5%):ビールのようなコクを再現
- サッポロ プレミアム アルコールフリー(0.00%)
- サントリー オールフリー(0.00%)
これらは、麦芽の香ばしさやホップの苦味を残しつつ、酔いにくい設計がなされています。とくにアサヒ ビアリーは、0.5%という絶妙な度数で「ちょっとだけ酔いたい」「気分を味わいたい」というニーズに応えます。
低アルコールビールは、昼食時やドライバーの同席、体調が優れない時など、あらゆるシーンにフィットします。「無理せず、でも楽しむ」を叶えてくれる新しいビール体験です。
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飲み方に合わせて度数を選ぶことは、ビールの魅力を最大限に引き出す近道です。次回お店で迷ったときは、「今日はどんなシーンかな?」と考えて、ぴったりの1本を選んでみてください。
5.よくある質問

1.日本のビールのアルコール度数は?
日本で一般的に流通しているビールのアルコール度数は、4.5%〜5.5%が主流です。アサヒやキリンなどの定番ブランドはほぼ5%前後に設定されています。これは食中酒としてもバランスがよく、酔いすぎずに楽しめる最適な度数だといえます。発酵管理を安定させるためにも、このレンジは醸造の上でも扱いやすいのが傾向です。
2.ビールはなぜ酔いやすいのでしょうか?
ビールは口当たりが軽く、炭酸による喉ごしの良さから、つい飲む量が多くなりがちです。また、冷たい状態で飲むことでアルコールの刺激を感じにくくなり、体内への吸収が早まります。特に空腹時や短時間での多量摂取は酔いやすさを加速させる要因です。ビールは「飲みやすさ」が酔いやすさと表裏一体なのです。
3.缶ビールのアルコール度数は?
市販の缶ビールは、おおよそ4%〜6%に設定されています。代表的なスーパードライや一番搾りは5%、少し強めの本麒麟やザ・リッチは6%前後。缶ビールでもアルコール度数によって味の輪郭や深みが大きく変わります。度数が高めのビールは麦芽の使用量が多く、風味がしっかりしています。
4.アルコール15度はどのくらい強いお酒ですか?
アルコール15度は、日本酒の標準的な度数に近く、ビールの約3倍の強さです。500mlのビール3本と、180mlの15度の日本酒1本がほぼ同じアルコール量といわれます。喉ごしではなく、じっくりと味わう飲み方が適しており、一気に飲むと強い酔いを感じやすいです。飲む環境と量のコントロールが重要です。
5.金麦のアルコール度数は?
サントリーの「金麦」はアルコール度数5%に設計されています。しっかりとした麦芽感とすっきりとした後味を両立させた第3のビール(新ジャンル)で、普段使いのビールとして人気です。冷蔵庫でよく冷やして飲むと、ホップの軽やかな香りが引き立ち、食事との相性も良好です。
6.アルコール度数が一番高いビールは?
世界で最もアルコール度数が高いとされているのは、スコットランドの「スネーク・ヴェノム」で、その度数は驚異の67.5%。通常の発酵ではなく冷凍濃縮などの特殊な手法を用いており、ビールというよりもリキュールに近い存在です。味は濃厚で、少量をゆっくり味わう“芸術品”のようなビールです。
7.ビール 何杯 酔う?
体質や体重、飲むペースにもよりますが、一般的にアルコール度数5%の中瓶ビール(500ml)を2本飲むと、純アルコール量は約20g。これは日本の「節度ある飲酒」の目安とされています。酔いを自覚し始めるのは個人差があるものの、3杯を超えると多くの人が酔いを感じ始めます。
8.スーパードライ 何度?
アサヒスーパードライのアルコール度数は5%です。ラガータイプらしいキレと辛口の後味が特徴で、食事と合わせやすい設計となっています。醸造の際には麦芽・ホップ・酵母・発酵温度の管理を徹底し、すっきりとした飲み心地を実現しています。日本国内での圧倒的なシェアを持つ理由の一つです。
9.キリンビールの度数は?
キリンビールの主力商品「一番搾り」はアルコール度数5%。副原料を使わず麦芽100%で仕込まれており、豊かな香りとコクが特徴です。また、やや高めの「本麒麟」は6%と重厚感重視の設計になっています。シーンに応じて度数で選ぶ楽しみも、キリンならではの醍醐味です。
ビールの度数を理解することで、味わいやシーンに応じた最適な1杯を選べるようになります。飲み方が変われば、楽しみ方も広がります。次の1本は“度数”で選んでみませんか?