ビールの種類やランキングを醸造家の視点で体系的に紹介します。品種ごとの特徴や味の違い、テイスティングの基本がわかるため、初心者でも自分に合ったビールが選べます。

1.ビールの基本を知る
ビールは、世界中で親しまれている発酵飲料であり、日本でも多くの人にとって身近な存在です。しかし、あらためてその定義や種類を問われると、意外と答えられない人も多いのではないでしょうか。この章では、ビールの成り立ちや分類、さらには日本独自の「発泡酒」「新ジャンル」との違いまでを深掘りし、ビールをより一層楽しむための基礎知識をお届けします。

1-1. ビールってなに?ビールの歴史と文化の始まり
ビールとは、主に麦芽(モルト)とホップ、水、酵母を原料として発酵させたアルコール飲料です。アルコール度数は通常4〜6%ほどで、香りや苦味、コクが特徴です。紀元前4000年ごろ、古代メソポタミアでビールの原型がつくられたとされており、シュメール人の粘土板には女性がビールを飲んでいる様子が描かれています。ヨーロッパでは中世以降、修道院で醸造技術が発展し、近代にはラガーのような低温発酵の製法が確立され、現在のスタイルへと進化しました。日本においては江戸時代末期に初めてオランダからビールが輸入され、1870年には「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」が誕生。明治時代にはキリンやアサヒなどの国産メーカーが続々と登場し、ビール文化が根付きました。
1-2. 日本で流通している主なビールの種類
現在、日本で流通しているビールは大きく以下のように分類できます。
種類 | 特徴 | 主な銘柄例 |
ピルスナー | すっきりとした喉ごしと苦味 | アサヒスーパードライ、キリン一番搾り |
ペールエール | フルーティーで豊かな香り | よなよなエール |
スタウト | 焙煎麦芽の苦味と甘さ | ギネス、エチゴビール スタウト |
ヴァイツェン | 小麦由来のやさしい甘み | 銀河高原ビール |
近年は、個性あふれるクラフトビールも増えており、地域限定のビールや季節限定商品など、選ぶ楽しさが広がっています。
1-3. ビールと発泡酒・新ジャンルの違い
ビールに似た飲料として「発泡酒」や「新ジャンル(第3のビール)」がありますが、それぞれ法律上の定義と原材料が異なります。
種類 | 麦芽比率 | 原料・特徴 | 税率の特徴 |
ビール | 50%以上 | 副原料の使用量に制限あり。ホップの香りとコクが魅力 | 最も高い |
発泡酒 | 50%未満 | 副原料(米・とうもろこしなど)を多く使用。軽い飲み口 | 中程度 |
新ジャンル | 0% | 麦芽を使用せず、大豆やエンドウ豆などからアルコールを抽出 | 最も低い(コストを抑えた製品が多い) |
たとえば、価格重視であれば新ジャンルを、香りやコクを楽しみたいなら本格ビールを、と目的に応じた選び方が可能です。
2.人気ビールランキング&おすすめ
全国のコンビニやスーパーで気軽に手に入るビールから、こだわりの味わいを持つクラフトビールまで、今やその選択肢は豊富です。特に缶と瓶では飲みごたえも香りの感じ方も異なり、用途やシーンに応じて選ばれる傾向があります。ここでは、最新の売上データや実際の消費者レビューをもとに、缶・瓶それぞれの人気ビールを紹介し、価格別・味別におすすめ銘柄をまとめました。

2-1. 国内人気ビールランキング(缶・瓶別)
缶ビールは持ち運びやすく、冷却時間も短いため、自宅用やアウトドアに最適です。
瓶ビールは飲食店での提供が多く、グラスに注いで香りと泡をじっくり楽しむスタイルが定番です。
【缶ビール】
- アサヒスーパードライ
- キリン一番搾り
- サントリープレミアムモルツ
- サッポロ黒ラベル
- サントリー金麦(発泡酒)
【瓶ビール】
- ヱビスビール
- キリンラガー
- エビス プレミアムブラック
- コエドビール 瑠璃
- ベアードブルーイング ライジングサンペールエール
飲み比べて感じるのは、缶はキレと軽快さ、瓶は香りと深みが強調されるという違い。場面に応じて使い分けるのが醍醐味です。
2-2. コスパ最強!価格別おすすめビール
ビール選びで価格を重視する方には、以下の価格帯別の銘柄が特におすすめです。
- 【1缶あたり150円前後】 金麦、クリアアサヒ、麦とホップ(新ジャンル) → 毎日の晩酌にぴったり。軽い口当たりと控えめな苦味。
- 【1缶あたり200〜250円】 一番搾り、スーパードライ、黒ラベル(定番ビール) → バランスの良い味と飲みごたえ。迷ったらこのゾーン。
- 【1缶あたり300円以上】 よなよなエール、エビス プレミアムエール、銀河高原ビール → フルーティーさや香りの奥深さを楽しみたい方に。
価格と品質は必ずしも比例しません。シーンや好みに合わせて最適なビールを選ぶのが上手な楽しみ方です。
2-3. 味・香り・度数で選ぶビールタイプ別まとめ
ビールにはそれぞれのスタイルに応じた個性があり、味や香り、度数の違いで大きく印象が変わります。
タイプ | 特徴 | 度数 | おすすめ銘柄 |
ラガー | キレ・爽快感 | 約5% | スーパードライ、黒ラベル |
エール | 芳醇で香り高い | 約5.5〜6.5% | よなよなエール、ペールエール系 |
スタウト | 焙煎香とコク | 約6〜7% | ギネス、エビス プレミアムブラック |
ヴァイツェン | 小麦のやわらかさ | 約5% | 銀河高原ビール |
スタイル別に好みを探ることで、自分だけのお気に入りに出会える可能性が広がります。味の冒険を楽しんでみてください。
3.ビール選びに役立つ知識
ビールをより深く楽しむには、味わいの背景にある要素を知ることが大切です。アルコール度数の違いや、ブランドごとの味の傾向、さらには海外でも通じる注文フレーズまで。少しの知識が、選び方の幅をぐっと広げてくれます。この章では、醸造家の視点で味や香り、文化に触れながら、ビール選びのコツを紹介します。

3-1. ビールの度数とは?アルコールと味の関係
アルコール度数は、ビールの印象を大きく左右する要素です。日本で一般的なビールの度数はおおむね4.5〜5.5%ですが、クラフトビールでは7%を超えるものも珍しくありません。度数が高くなると、甘みやコクが増し、発酵由来の香りも強くなります。例えば、IPA(インディア・ペールエール)はホップの苦味と高めのアルコールが特徴で、口当たりがどっしりしています。一方、ライトラガーは度数が低めで爽快感があり、ゴクゴク飲める仕上がりです。テイスティングでは、最初に度数を確認し、料理とのバランスを意識すると満足度が高まります。軽めのビールから順に試すのが基本の流れです。
3-2. アサヒ、キリン、サントリー…ブランド比較
日本の三大ビールメーカーには、それぞれ明確な特徴があります。
- アサヒ(スーパードライ):シャープな切れ味が特徴。食中酒として優秀で、油ものとの相性が抜群です。
- キリン(一番搾り):麦芽100%のまろやかさと苦味のバランスが秀逸。素材の味を生かす料理に合います。
- サントリー(プレモル):アロマホップの華やかな香りと甘みのある余韻が印象的。洋食やチーズとの組み合わせがおすすめです。
例えば、ビールイベントで同じ料理に3種のビールを合わせてみたところ、唐揚げにはアサヒ、塩焼きそばにはキリン、チーズ盛り合わせにはプレモルが最も好評でした。それぞれのブランドの個性を知ると、選ぶ楽しさが広がります。
3-3. 英語で通じるビールの種類・注文フレーズ
海外旅行先やインバウンド対応の飲食店でも、ビールの知識があると安心です。代表的な種類は次のとおりです。
- Lager(ラガー):世界でもっとも一般的。キレのある喉ごし。
- Ale(エール):香り豊かで重厚感がある。
- IPA(アイピーエー):ホップの苦味が際立つ。
- Stout(スタウト):黒ビールの代表格。コーヒーのような風味。
- Wheat Beer(ウィートビール):小麦系でやわらかな口当たり。
注文の際はこう伝えましょう:
- “Can I have a pint of lager?”(ラガーを1パイントください)
- “What kind of craft beer do you have?”(クラフトビールは何がありますか?)
- “Something fruity and light, please.”(フルーティーで軽いものをお願いします)
旅先での一杯も、知識があるだけでぐっと味わい深くなります。英語で自分の好みを伝えられるようにしておくと、選択の幅が広がりますよ。
4.楽しみ方と購入方法
ビールの魅力は、味や香りだけではありません。購入方法、楽しむシーン、そしてパッケージやCMまでもが、体験の一部となります。自宅での時間をより豊かにするために、上手な通販の活用や料理とのペアリング、視覚でも楽しめる工夫について、実例を交えて紹介します。

4-1. 自宅でも楽しめる通販サイトの選び方
ビール通販サイトは年々進化しており、自宅にいながら全国のクラフトビールや限定銘柄を楽しめるようになりました。選ぶ際のポイントは3つあります。
- 【1】品揃えの幅:クラフトビール専門店(例:びあマ神田)、百貨店系(例:三越伊勢丹オンライン)は、定番から珍しい銘柄まで揃っています。
- 【2】配送温度:ビールは温度変化に弱いため、冷蔵配送をしているサイトを選ぶと品質が保たれます。
- 【3】レビューや説明文の充実度:初心者向けに味の傾向や合う料理が記載されているサイトは安心です。
私自身、定期便で地元ブルワリーの季節限定ビールを楽しんでおり、毎月の小さな楽しみになっています。通販でしか出会えない味を探してみてください。
4-2. ビールと料理のペアリングアイデア
ビールと料理の相性は、ちょっとした知識で劇的に変わります。ポイントは「ビールの特性に合わせて料理を選ぶ」こと。以下は簡単な組み合わせ例です。
- ピルスナー × 唐揚げ:爽快な苦味が油を切ってくれる
- ペールエール × ハンバーグ:コクと香ばしさが絶妙にマッチ
- スタウト × チョコレート:甘味と苦味が重なって奥深い
- ヴァイツェン × 生ハム:小麦のやさしい風味が塩気を引き立てる
実際にイベントで料理とビールをセット提供したとき、スタウト×ショコラが女性に圧倒的に支持されました。家庭でも「今夜はこのビールに合う料理を作ってみよう」と考えるだけで、食卓が一気に楽しくなります。
4-3. SNS映え!ビールのイラスト・パッケージ紹介
最近では、味だけでなく見た目で選ばれるビールも増えています。特にSNSでは、思わず写真を撮りたくなるデザインが人気です。コエドビールの和紙風ラベルや、伊勢角屋麦酒のポップな動物イラストなどは、投稿される頻度も高く、視覚的な魅力も購入の決め手になります。私のおすすめは、長野の「志賀高原ビール」。山並みを描いたシンプルなデザインがとても美しく、グラスに注ぐ前から気分を高めてくれます。ビールは“飲むアート”。見た目から選ぶ楽しみも、ぜひ取り入れてみてください。
4-4. 話題のビールCMまとめ
ビールCMは、味やブランドイメージを伝える重要なメディアです。2020年代に入り、各社はよりストーリー性や共感を意識した内容にシフトしています。アサヒの「やっぱり、これだね」シリーズは、帰宅後の一杯にフォーカスし、日常のリアリティを描写。キリンは「ビールにする?」という問いかけを軸に、人と人とのつながりを演出。サントリーはプレミアムモルツを「ご褒美」として描き、特別感を訴求しています。CMは単なる宣伝ではなく、私たちの気分や選択に影響を与える存在です。「あのCM見て飲みたくなったな」と感じたとき、それはすでに味わいが始まっている証拠かもしれません。
5.よくある質問

1.日本で1番人気のビールは何ですか?
日本で最も人気のあるビールは、アサヒスーパードライです。ドライ製法によるキレと淡麗な味わいが特徴で、食事の邪魔をせず、幅広い層から支持されています。とくに日本の料理文化との親和性が高く、日常の定番として多くの人に選ばれています。
2.日本で1番売れている缶ビールは何ですか?
最も売れている缶ビールは、アサヒスーパードライ(缶タイプ)です。安定した品質と入手しやすさ、そしてあのシャープな喉ごしが支持の理由です。全国の量販店でも常に上位にランクインしており、輸出量も高いことから国内外での認知度も高いです。
3.ビールは体にいいのですか?
ビールは適量であれば、ポリフェノールやビタミンB群などの栄養素を含みます。とくにホップに含まれる苦味成分にはリラックス効果も期待できますが、飲み過ぎは肝臓への負担となります。1日350ml缶1本程度を目安に楽しむのが理想です。
4.山梨県でおすすめの地ビールは?
山梨県なら「アウトサイダーブルーイング」や「富士桜高原麦酒」がおすすめです。とくに富士桜高原のヴァイツェンは、ドイツ仕込みの酵母由来のバナナ香があり、繊細でなめらかな口当たりが楽しめます。清らかな水質が味に反映されています。
5.一番飲まれているビールは?
消費量ベースで最も飲まれているのはアサヒスーパードライです。多くの飲食店でも採用され、缶・瓶・生ビールすべての形態で流通しています。味の主張が強すぎないため、料理との相性も良く、幅広い場面で愛されている定番中の定番です。
6.もらって嬉しいビールのランキングは?
ギフトとして喜ばれるビールは、以下のようなものが多いです。1位:エビスビール(高級感と安定感)、2位:よなよなエール(クラフト感と華やかさ)、3位:サントリープレミアムモルツ(特別感)。限定デザイン缶や飲み比べセットも人気です。
7.日本一うまいクラフトビールは?
「日本一うまい」との評価が高いのは、長野県の「志賀高原ビール」や「ベアードブルーイング」です。特に志賀高原のIPAは、麦芽のコクとホップの香りが完璧なバランスで、多くの醸造家にも評価されています。タップルームでの鮮度も魅力です。
8.地ビール日本一は?
地ビール大会で何度も受賞しているのは「富士桜高原麦酒」です。特にヴァイツェンやラオホ(燻製ビール)は、国際大会でも金賞を獲得するなど、品質・味ともに世界基準。地元の天然水とドイツ伝統製法の融合が高評価の理由です。
9.ビールと地ビールの違いは何ですか?
一般的なビールは大量生産で安定供給されるのに対し、地ビール(クラフトビール)は小規模醸造所が独自レシピでつくる個性派ビールです。原材料や発酵温度にもこだわりがあり、香りや味にオリジナリティが際立ちます。流通も限定的です。
ビールの種類とランキングを理解することで、選び方や楽しみ方が大きく変わります。好みに合った1本を見つけて、より豊かなビール時間を過ごしてみてください。